不倫慰謝料請求で訴訟を起こすメリットとデメリットについて
1 不倫慰謝料請求訴訟を提起するメリットについて
⑴ 民事訴訟法のもとで主張と証拠に基づいた進行と判断が期待できる
不倫慰謝料に関する事件は、当事者が感情的になりやすい類型のものであるため、話し合いでの解決が困難になることもあります。
訴訟では、法律に基づいた事実の主張と、主張された事実を証明する客観的な証拠に基づき、第三者である裁判所が判断をします。
⑵ 確定判決による強制執行が可能になる
訴訟に勝訴し確定判決を得ることで、相手が任意に不倫慰謝料を支払わない場合であっても、強制執行によって給与や財産を差し押さえることが可能となります。
⑶ 良い条件で示談できる可能性がある
訴訟を提起していても、訴訟外で話し合いをし、示談をすることもできます。
不倫慰謝料請求に限らず、訴訟外で和解し、訴訟を取り下げるということは多く行われています。
相手としても、訴訟に対応し続けることの負荷は大きいため、良い条件で示談に応じる可能性もあります。
2 不倫慰謝料請求訴訟を提起するデメリットについて
⑴ 時間的負荷、経済的負荷が大きい
訴訟を提起してから判決に至るまでには、6か月~1年程度の期間を要します。
控訴する場合や、相手が控訴した場合には、さらに長い時間がかかります。
また、訴訟を提起する場合、弁護士の着手金や、出廷費、交通費等の実費、成功報酬金などの支払いも必要となります。
⑵ 精神的負荷が大きい
⑴のとおり、訴訟を提起すると、長い期間事件に拘束されることになります。
その間、事実関係や証拠の内容、相手の主張などについて詳細な検討をし続けることになるため、精神的な負荷は大きいものとなります。
⑶ 費用倒れになる可能性がある
不倫慰謝料の相場は、具体的な事情にもよりますが、一般的に数十万円~300万円程度とされており、事案によっては低い金額になります。
仮に勝訴をしても、かかった費用よりも支払われる慰謝料の方が低くなるという可能性もあります。
また、相手に財産や収入がない場合、勝訴判決を得ても結局支払いを受けられず、強制執行もできないということもあります。